Masakiです。
「国内最大級のユーザー数を誇るLINEで広告を出したいが、何から始めればいいかわからない」 「広告アカウントの審査が厳しくて、なかなか配信までたどり着けない」
「多額の費用を投じたのに、全く効果が出ない。費用対効果が合わない」
このように、LINE広告はビジネス担当者にとって「攻略が難しい巨大なプラットフォーム」として存在しています。
この記事は、その悩みを解決するために生まれました。
ビジネス担当者の皆様には、LINE広告の仕組みを根本から理解し、アカウント開設から審査突破、効果を最大化する運用戦略までを網羅したガイドを提供します。
【ビジネス向け】LINE広告とは?国内最大級プラットフォームの全貌
まず広告主としてLINE広告をどう活用していくべきか、その仕組みからメリット・デメリットまでを徹底的に解剖します。
LINE広告の仕組み:運用型広告とオークションの基本
LINE広告は、テレビCMのように枠を買って決まった期間流す「純広告」とは異なり、「運用型広告」に分類されます。
これは、広告主が専用の管理画面から、予算、配信期間、ターゲット、クリエイティブ(広告素材)などを、広告配信が始まった後でもリアルタイムで柔軟に変更・調整できる広告形態です。
そして、どの広告が、いつ、誰に表示されるかは、「オークション」によってリアルタイムで決定されます。
ユーザーがトークリストを開くなど、広告枠が表示されるたびに、そのユーザーに広告を表示したい複数の広告主の間で瞬時にオークションが行われます。
このオークションの勝敗は、広告主が設定した入札価格だけでなく、広告の品質(クリックされやすさなど)も加味して総合的に判断されます。
この仕組みにより、広告費用は固定ではなく、常に変動し続けるのが特徴です。
圧倒的なリーチ力:ユーザー数と属性データ
LINE広告が持つ最大の強みは、その圧倒的なリーチ力にあります。
ユーザー規模と層の広さ
月間アクティブユーザー(MAU)は9,700万人を超え、日本の人口の大半をカバーしています。
さらに重要なのは、そのユーザー層の広さです。
特定の年代や性別に偏りがちな他のSNSプラットフォームと異なり、LINEは10代の若者から60代以上のシニア層まで、男女問わず幅広い層が日常的に利用しています。
これは、どのような商材やサービスであっても、ターゲットとなる顧客層がLINEのプラットフォーム上に存在する可能性が極めて高いことを意味します。
オンリーリーチの価値
見逃せないのが、「オンリーリーチ」の価値です。
調査によると、LINEユーザーの中には、X(旧Twitter)やFacebookといった他の主要なSNSを全く利用していない層が一定数存在します。
つまり、LINE広告は、他の広告媒体では決してアプローチできない、独自のユーザー層に情報を届けることができる唯一無二のプラットフォームなのです。
これは、新規顧客を開拓したい企業にとって、計り知れない価値を持ちます。
LINE広告のメリット・デメリットを徹底比較
LINE広告を導入する際には、その強みと弱みを正確に理解し、自社のマーケティング戦略に合致するかを判断することが重要です。
項目 | メリット | デメリット |
リーチ力 | MAU 9,700万人以上という圧倒的なユーザー基盤。若年層からシニア層まで幅広い年代にアプローチ可能。他のSNSでは届かない「オンリーリーチ層」にも訴求できる。 | X(旧Twitter)のリツイートのようなシェア機能がなく、バイラル効果(口コミによる爆発的な拡散)は期待しにくい。 |
ターゲティング | 年齢、性別、地域などの基本属性に加え、興味関心や行動履歴に基づく詳細なターゲティングが可能。自社の顧客データを使ったオーディエンス配信も強力。 | ターゲティング精度は高いものの、ユーザーのプライバシー保護の観点から、一部のデリケートなセグメント(例:特定の病気など)は指定できない。 |
配信面 | トークリスト、LINE VOOM、LINE NEWSなど、LINEアプリ内外の多様な場所に広告を配信でき、ユーザーとの接触機会が多い。 | 配信面が多岐にわたるため、各配信面の特徴を理解し、クリエイティブを最適化する必要がある。 |
費用 | 最低出稿金額がなく、1日1,000円といった少額から始められる。友だち追加課金(CPF)など、費用対効果の高い課金方式を選択できる。 | 競合が多いターゲティングでは入札単価が高騰しやすい。効果を出すにはある程度の継続的な予算(推奨:月30万円以上)が必要。 |
審査 | 厳格な審査基準により、プラットフォームの健全性が保たれ、ユーザーからの信頼性が高い。 | 審査が非常に厳しく、掲載できない業種・商材が多い。アカウント審査と広告審査の2段階があり、配信開始までに時間がかかる場合がある。 |
他のSNS広告(インスタ広告など)との違い
LINE広告と他のSNS広告、特にビジュアル訴求に強いInstagram広告とは、プラットフォームの性質から根本的な違いがあります。
プラットフォームの性質: LINEは友人や家族との1対1、またはグループでのクローズドなコミュニケーションが主目的のツールです。
一方、Instagramは写真や動画を通じて自己表現をしたり、トレンド情報を収集したりするオープンなプラットフォームです。
このため、ユーザーが広告に接触する際の心理状態が大きく異なります。
LINEではよりパーソナルな空間に広告が表示されるため、自然に溶け込むクリエイティブが求められます。
ターゲティング: Instagram(Meta)広告は、Facebookと連携した詳細な興味関心データやライフイベント(婚約、引っ越しなど)に基づいた高精度なターゲティングに強みがあります。
LINE広告も高精度ですが、それに加えて「LINE公式アカウントの友だち」やその類似ユーザーといった、LINEエコシステム内での関係性を基にした独自のターゲティングが可能です。
拡散性と広告フォーマット: Instagramはストーリーズやリールといった没入感の高い縦型動画フォーマットが強力で、シェア機能による情報の拡散も期待できます。
LINE広告は拡散力では劣るものの、トークリスト最上部という最も視認性の高い場所への掲載や、「友だち追加」という直接的な顧客獲得アクションに繋げやすい点が大きな違いです。
LINE広告の真価は、単に広告を配信して終わり、という点にはありません。
その本質は、9,700万人という広大なリーチを活かして見込み顧客と接点を持ち、「友だち追加」という形で自社の顧客リスト(CRM資産)へと転換できる点にあります。
一度友だちになれば、追加の広告費をかけずに継続的なコミュニケーションが可能となり、顧客を育成(ナーチャリング)して長期的な売上に繋げることができます。
つまり、LINE広告は単なる広告媒体ではなく、顧客関係管理(CRM)の入り口としての機能を持つ、非常に戦略的なプラットフォームなのです。
この視点を持つことが、LINE広告の費用対効果を正しく評価し、その価値を最大化する上で不可欠となります。
LINE広告の始め方:アカウント開設から審査までの完全ガイド
実際にLINE広告を配信するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。
特に「審査」は多くの担当者がつまずくポイントです。
ここでは、アカウント開設から審査突破までの流れを、注意点と共に詳しく解説します。
準備するもの:LINE公式アカウントとLINEビジネスID
LINE広告を始めるには、まず3つのアカウントの関係性を理解する必要があります。
LINEビジネスID: すべてのLINEビジネス向けサービスの基盤となる共通IDです。
個人のメールアドレスで作成します。
LINE公式アカウント: 企業や店舗がユーザーとコミュニケーションをとるためのアカウントです。
広告の主体者となり、「友だち追加広告」の受け皿にもなります。
広告アカウント: 実際に広告の出稿や管理を行うためのアカウントです。
この3つは、LINEビジネスIDを親として、LINE公式アカウントと広告アカウントが紐づく構造になっています。
広告を始める前に、まずはLINEビジネスIDを作成し、次にLINE公式アカウントを開設しておきましょう。
特に、友だち追加広告など一部の機能を利用するためには、LINE公式アカウントがLINEの審査を通過した「認証済アカウント」である必要がありますので、早めに申請しておくことをお勧めします。
広告アカウントの作成手順と管理画面へのログイン方法
LINE公式アカウントの準備ができたら、いよいよ広告アカウントを作成します。
1.「LINEヤフー for Business」の公式サイトにアクセスし、作成したLINEビジネスIDでログインします。
2.管理画面のトップページにある「広告アカウント」から、「+新しい広告アカウントを作成」をクリックします。
3.画面の指示に従い、「請求先情報」「広告主情報」「商材情報」「基本情報」などを正確に入力します。
特に広告主名やウェブサイトURLは、後の審査で厳しくチェックされるため、間違いのないように入力してください。
4.入力が完了し、「作成する」をクリックすると、広告アカウントの作成申請が完了し、審査が開始されます。
広告アカウント作成後、管理画面へは「LINEヤフー for Business」のログインページから、「LINE広告」の「管理画面にログインする」ボタンをクリックしてアクセスします。
ログイン方法は、普段利用しているLINEアプリと連携する「LINEでログイン」と、ビジネスID作成時に登録したメールアドレスでログインする「メールアドレスでログイン」の2種類があります。
セキュリティ強化のため、ログイン時にスマートフォンでの2段階認証が求められる場合があります。
最難関「審査」を突破する:審査基準と否認理由の徹底解説
LINE広告の配信までには、「広告アカウント審査」と「広告(クリエイティブ)審査」という2段階の審査を通過する必要があります。
この審査プロセスは、ユーザー保護の観点から非常に厳格に運用されており、LINE広告の最大のハードルとも言えます。
審査期間
それぞれの審査には、通常5営業日(土日祝日を除く)程度かかるとされています。
つまり、広告アカウントを作成申請してから、実際に広告が配信されるまでには、合計で最大10営業日、実日数で約2週間かかる可能性を考慮し、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。
広告アカウント審査のポイントとよくある否認理由
広告アカウント審査は、広告主が信頼できる事業者であるかを確認するプロセスです。
クリエイティブの内容以前に、提出された情報に不備があると、この段階で否認されてしまいます。
これは単なる広告チェックではなく、「広告主の事業実態の信頼性評価」と捉えるべきです。
広告主が「誰であり、何を提供し、どこに責任の所在があるか」を明確にすることが、ユーザーを保護し、プラットフォームの信頼性を維持するために不可欠だからです。
審査をスムーズに通過するためには、広告クリエイティブの表現だけでなく、自社のウェブサイトや登録情報の一貫性を保ち、事業の透明性を確保することが絶対条件となります。
広告主正式名の不一致: 登録した広告主名と、広告主ウェブサイト(ランディングページ)に記載されている会社名が完全に一致している必要があります。
「株式会社」の有無や、英語表記とカタカナ表記の違いなど、些細な相違でも否認の原因となります。
広告主とウェブサイトの関係が不明: 登録したウェブサイトURLのページ内に、広告主の正式名称、所在地、代表者名、事業内容などの詳細情報が明記されていない場合、信頼性が低いと判断され否認されます。
商材カテゴリの不一致: アカウント作成時に選択した商材のカテゴリと、実際に広告で宣伝したい商材が異なっている場合も否認対象です。
LINE公式アカウントの設定不備: 紐付けたLINE公式アカウントの表示名やプロフィール画像が、広告主や宣伝する商材と全く関連性のないものである場合、ユーザーに誤認を与える可能性があるとして否認されます。
クリエイティブ・LP審査のガイドラインとポリシー
アカウント審査を通過した後、作成した広告(画像、動画、テキスト)と、その遷移先であるランディングページ(LP)が審査されます。
掲載不可の業種・商材: 宗教関連、ギャンブル(公営競技などを除く)、情報商材、マルチ商法、たばこ、武器など、多くの掲載不可業種が定められています。
また、エステ、美容医療、健康食品、金融関連などは、掲載は可能ですが非常に厳しい表現の規制が設けられています。
表現に関する主なガイドライン:
ユーザーが不快と感じる表現の禁止: 「デブ」「ハゲ」など、身体的コンプレックスを直接的・侮辱的に表現するものや、過度な肌の露出、グロテスクな表現は禁止です。
誇大・虚偽表現の禁止: 「絶対に痩せる」「100%儲かる」といった効果を保証する表現や、「世界初」「No.1」といった最上級表現を使用する場合は、第三者機関による客観的なデータとその出典を明記する必要があります。
LINE関連コンテンツとの誤認を招く表現の禁止: LINEのロゴやキャラクター、トーク画面のようなデザインを無断で使用することはできません。
また、ユーザーとの関係性を表す言葉は、公式の「友だち」という表記に統一する必要があり、「友達」や「お友だち」といった表記は認められません。
ランディングページ(LP)の要件: 広告をクリックした先のLPも厳しく審査されます。
リンク切れや画像の表示エラー、誤字脱字が多いページは、ユーザー体験を損なうため否認されます。
また、お問い合わせフォームなどで個人情報を取得する場合は、プライバシーポリシーのページへのリンクが必須です。
LINE広告の費用と予算設定の考え方
LINE広告は、予算や目的に応じて柔軟な運用が可能です。
ここでは、費用の仕組みから具体的な予算設定の方法までを解説します。
3つの課金方式:CPC・CPM・CPFとは?
LINE広告の費用は、主に3つの課金方式によって発生します。
キャンペーンの目的に合わせて最適な方式を選択することが、費用対効果を高める第一歩です。
クリック課金 (CPC – Cost Per Click): 広告がユーザーにクリックされ、ウェブサイトやLPに遷移した時点で初めて費用が発生する方式です。
広告が表示されるだけでは費用はかからないため、サイトへの集客や商品購入など、具体的なユーザーアクションを促したい場合に適しています。
インプレッション課金 (CPM – Cost Per Mille): 広告が1,000回表示されるごとに費用が発生する方式です。
クリックされなくても費用が発生しますが、クリック単価(CPC)が比較的安くなる傾向があります。
ブランドの認知度向上など、とにかく多くのユーザーに広告を見てもらいたい場合に有効です。
友だち追加課金 (CPF – Cost Per Friends): LINE公式アカウントの「友だち追加」を目的とした広告でのみ選択できる特別な課金方式です。
友だちが1人追加されるという「成果」に対して費用が発生する成果報酬型のため、無駄なコストが発生しにくく、費用対効果が非常に高いのが特徴です。
費用相場と最低出稿金額の目安
LINE広告を始めるにあたり、どれくらいの予算を用意すれば良いのでしょうか。
費用相場: LINE広告の機械学習を十分に機能させ、安定した成果を出すためには、月額30万円以上の予算で3ヶ月以上継続運用することが公式にも推奨されています。
これにより、十分なデータが蓄積され、配信の最適化が進みやすくなります。
ただし、ターゲットを絞り込んだり、目的を限定したりすることで、月額10万円程度の予算でも成果を出している事例は存在します。
最低出稿金額: LINE広告には、かつて存在したような最低出稿金額の縛りはなく、1日の予算1,000円といった少額からでも始めることが可能です。
しかし、予算があまりに少なすぎると、オークションで競り負けて広告がほとんど表示されなかったり、効果測定に必要なデータが十分に集まらなかったりする可能性があるため注意が必要です。
課金方式 | 特徴 | 最低設定価格(手動/自動) | 費用相場(目安) |
CPC(クリック課金) | サイト誘導などユーザーのアクションを促す場合に最適 | 24円~ / 36円~ | 24円 ~ 200円 |
CPM(インプレッション課金) | ブランド認知度向上など、多くの人に見せたい場合に最適 | 200円~ / – | 400円 ~ 650円(1,000回表示あたり) |
CPF(友だち追加課金) | 友だち追加目的の広告のみ。成果報酬型で費用対効果が高い | 50円~ / 75円~ | 100円 ~ 250円(1友だち追加あたり) |
予算設定の基本:「キャンペーン上限予算」と「1日の予算」
LINE広告の予算管理は、「キャンペーン上限予算」と「1日の予算」という2つの設定を組み合わせて行います。
この仕組みは、車の「アクセル」と「ブレーキ」に例えると理解しやすいです。
1日の予算(日予算) – アクセル: これは、1日あたりに消化したい広告費の「目安」を設定するものです。
広告配信を行う上で設定が必須となります。
この設定は柔軟に機能し、広告の表示機会が多い日には、設定額の最大200%まで自動的にアクセルを踏み込んで予算を消化します。
これにより、コンバージョンのチャンスを逃しません。
ただし、200%を超えた分の費用は請求されない仕組みになっています。
キャンペーン上限予算 – ブレーキ: これは、キャンペーン全体(または月単位)で消化する広告費の「絶対的な上限」を設定するものです。
設定は任意ですが、予算管理上は設定することが強く推奨されます。
日々の配信で日予算が多少超過したとしても、この上限額に達した時点で広告配信は自動的に停止(ブレーキがかかる)するため、想定外の予算超過を確実に防ぐことができます。
賢い運用者は、このアクセルとブレーキの仕組みを戦略的に活用します。
日予算をある程度余裕を持って設定して日々の機会損失を防ぎつつ、キャンペーン上限予算で全体のコストを厳格に管理する。
この両輪で、柔軟かつ安全な予算運用が可能になります。
入札戦略の選び方:「自動入札」と「手動入札」の使い分け
オークションでいくらの価格で入札するかを決める方法には、「手動入札」と「自動入札」の2種類があります。
手動入札: 運用者が1クリックあたりの上限入札単価などを直接設定する方法です。
細かなコントロールが可能ですが、最適な入札単価を見極めるには経験と分析の工数がかかります。
自動入札: 設定したキャンペーンの目的に合わせて、LINEのAIがオークションごとに最適な入札価格を自動で調整してくれる方法です。
現在、LINE広告の8割以上がこの自動入札で運用されており、効率的に成果を最大化するための主流な方法となっています。
自動入札を成功させるには、AIに学習させるためのデータが必要です。
その目安として「1つの広告グループで30日間に40件のイベント(コンバージョンやクリックなど)」のデータ量が推奨されています。
予算が少ない場合、最終的なコンバージョン(購入など)だけでこの件数を達成するのは難しいことがあります。
その場合は、「カートに商品を追加」「問い合わせページへの到達」といった、最終コンバージョンに近い行動を「マイクロコンバージョン」として設定し、それを学習データとすることで、少ない予算でも自動入札の最適化を促進する戦略が有効です。
自動入札には、目的に応じていくつかの戦略があります。
単価の上限なしで1日の予算の消化を最大化: 予算を最大限使い切り、コンバージョン数を最大化したい場合に選択します。
キャンペーンの立ち上げ初期やセール期間中などに有効です。
イベント単価の上限を設定: 1件あたりの獲得単価(CPA)が、設定した上限を超えないことを最優先に運用します。
CPAを厳密に管理したい場合に適しています。
イベント単価の目標を設定: 設定した目標CPA前後での獲得を目指しつつ、獲得件数も最大化するバランス型の戦略です。
自社のビジネス目標やKPIに応じて、これらの戦略を適切に選択することが重要です。
成果を最大化するLINE広告のターゲティング設定
LINE広告の強力な機能の一つが、詳細なターゲティングです。
広告を「誰に」届けるかを正確に設定することで、無駄な広告費を削減し、費用対効果を飛躍的に高めることができます。
基本ターゲティング:地域、年齢、性別、OSの設定方法
これらは、広告グループを作成する際に設定する最も基本的なターゲティング項目です。
地域: 都道府県や市区町村単位での指定が可能です。
さらに、「この地域に住んでいる人」「この地域で働いている人」「この地域に最近いた人」といったユーザーの状態を細かく指定できるのが特徴です。
店舗ビジネスであれば、店舗から半径◯km以内といった指定もできます。
年齢: 「14歳以下」から「65歳以上」まで、5歳区切りで細かく設定できます。
若年層へのアプローチが可能な点は、他の広告媒体にはない強みです。
性別: 「男性」「女性」「すべて」から選択します。
OS: 「iOS (iPhone)」「Android」「すべて」から選択します。
アプリのインストールを促す広告などで、特定のOSにしか対応していない場合に活用します。
詳細ターゲティング:興味関心・行動セグメントの活用
基本ターゲティングに加え、LINEはユーザーの行動履歴などから推定される、より詳細なセグメントへの配信が可能です。
趣味・関心セグメント: 「ゲーム」「スポーツ」「ファッション」「美容・コスメ」など、ユーザーが興味を持っていると推定されるカテゴリを指定できます。
行動セグメント: 「テレビの視聴頻度が高い」「最近引っ越した可能性がある」「ゲームをよくプレイする」など、ユーザーのライフスタイルや行動に基づいたターゲティングが可能です。
属性セグメント: 「配偶者の有無」「子供の有無」「推定収入」「職業」など、デモグラフィック情報をさらに深掘りしたセグメントです。
購買意向セグメント: 「自動車」「住宅」「金融商品」など、高価格帯の商材に対して購入を検討している可能性が高いユーザー層にアプローチできます。
オーディエンス配信の全て:リターゲティングから類似配信まで
オーディエンス配信は、広告主が持つデータなどを活用して、より精度の高いターゲティングを実現する機能です。
LINE Tagの設置とウェブトラフィックオーディエンス(リターゲティング)
リターゲティング配信を行うためには、まず自社のウェブサイトに「LINE Tag」という計測タグを設置する必要があります。
LINE Tagの役割: このタグをサイトに設置することで、「どのページに誰が訪れたか」といったユーザーの行動データを計測できるようになります。
このデータを基に、「サイトに訪問したが、購入しなかったユーザー」といったオーディエンスリストを作成し、その人たちを追いかけてLINE上で広告を再表示するのがリターゲティング配信です。
設定手順:
1.LINE広告の管理画面から「トラッキング(LINE Tag)」メニューに進み、「ベースコード」を取得します。
2.取得したベースコードを、自社ウェブサイトのすべてのページの<head>
タグ内に設置します。
3.次に、管理画面の「オーディエンス」メニューから「ウェブトラフィックオーディエンス」を作成します。
ここで、「サイトの全訪問者」や「特定のURL(例:/cart)にアクセスしたユーザー」といった条件でリストを作成できます。
顧客データの活用と類似オーディエンス
LINE Tag以外にも、様々なデータを基にオーディエンスを作成できます。
顧客データのアップロード: 自社が保有する顧客リスト(電話番号やメールアドレス)をアップロードし、そのリストに含まれるLINEユーザーに広告を配信できます。
LINE公式アカウントの友だち: 既に友だちになっているユーザーや、ブロック中のユーザーをオーディエンスとして活用できます。
類似オーディエンス: これが新規顧客獲得における最も強力な機能の一つです。
例えば、「過去に商品を購入した顧客リスト」を基に、その人たちとLINE上での行動パターンが似ているユーザーをLINEが自動で探し出し、新たなオーディエンスとして作成してくれます。
この類似オーディエンスに広告を配信することで、購買意欲の高い潜在顧客に効率的にアプローチできます。
類似オーディエンスを作成する際は、「オーディエンスサイズ」を1%〜15%の間で設定します。
1%に設定すると、元のオーディエンスに最も似ている、ごく少数の精鋭ユーザーに配信され、15%に設定すると、類似度は下がりますが、より多くのユーザーにリーチできます。
最初は類似度の高い1〜3%から始め、効果を見ながら徐々に広げていくのが定石です。
LINE広告のターゲティングで成功する秘訣は、「広げて絞る」という段階的なアプローチにあります。
最初からターゲティングを細かく絞りすぎると、広告の表示機会が失われ、効果測定に必要なデータすら集まらない可能性があります。
まずは年齢や性別などで大枠のターゲットを設定して配信を開始し(広げる)、その結果をパフォーマンスレポートで分析します。
そして、成果の良いセグメント(特定の年齢層や興味関心カテゴリなど)に予算を集中させたり、成果の悪いセグメントを除外したりする(絞る)ことで、徐々に配信を最適化していくのです。
また、オーディエンス機能の真価は、「配信」と「除外」を組み合わせることで発揮されます。
例えば、新規顧客を獲得したい場合、「購入者の類似オーディエンス」を配信対象に設定し、同時に「既存の購入者リスト」や「サイト訪問者」を除外対象に設定します。
これにより、まだ自社と接点のない「純新規」のユーザーにのみ広告費を集中させることができ、広告運用の効率を劇的に高めることが可能です。
クリックされるLINE広告クリエイティブの作り方
広告の成果は、ターゲティングや予算設定だけでなく、ユーザーの目に直接触れる「クリエイティブ(広告素材)」の品質に大きく左右されます。
ここでは、LINE広告で成果を出すためのクリエイティブ制作のポイントを解説します。
配信面一覧と各フォーマットの特徴
LINE広告は、LINEアプリ内外の非常に多くの場所に表示されます。
それぞれの配信面には特徴があり、それに合わせたクリエイティブを用意することが重要です。
配信面 | Card (1200×628) | Square (1080×1080) | Carousel (1080×1080) | 画像(小) (600×400) | Vertical (9:16 動画) |
トークリスト | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ | ✕ |
LINE VOOM | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ |
LINE NEWS | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
ウォレット | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
LINEマンガ | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ | ✕ |
LINE広告ネットワーク | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ | ◯ |
トークリスト広告
LINEアプリで最も頻繁に表示されるトーク画面の最上部に掲載されるため、視認性が非常に高く、ブランド認知に絶大な効果を発揮します。
ただし、表示されるスペースが比較的小さいため、情報を詰め込みすぎず、一瞬で内容が伝わるシンプルで視認性の高いデザインが求められます。
LINE VOOM広告
ショート動画がメインのプラットフォームで、ユーザーの投稿の間に自然な形で広告が挿入されます。
スマートフォンでの視聴に最適化された縦型動画(9:16)が最も効果的です。
ユーザーは次々と動画をスワイプしていくため、冒頭の3秒でいかに興味を引けるかが勝負となります。
また、音声なしで視聴されることも多いため、伝えたい内容は必ず字幕で表示することが不可欠です。
LINE NEWS広告
月間利用者数7,700万人を誇る国内最大級のニュースサービス内に表示されます。
ユーザーは情報収集モードで記事を読んでいるため、広告に対しても比較的寛容で、信頼性が高いのが特徴です。
ニュース記事に溶け込むような、情報価値の高いクリエイティブが効果的です。
入稿規定の完全まとめ:画像・動画サイズと文字数制限
クリエイティブを制作する際は、LINE広告が定める入稿規定を遵守する必要があります。
規定外のクリエイティブは審査で否認されたり、正しく表示されなかったりします。
フォーマット | 画像サイズ / アスペクト比 | ファイル形式 | ファイル容量 | タイトル | ディスクリプション |
Card(静止画) | 1200×628px | jpg, png | 10MB以内 | 20文字以内 | 75文字以内 |
Square(静止画) | 1080×1080px | jpg, png | 10MB以内 | 20文字以内 | 75文字以内 |
Carousel(静止画) | 1080×1080px (最大10枚) | jpg, png | 10MB以内 | 20文字以内 | 40文字以内 |
画像(小) | 600×400px | jpg, png | 10MB以内 | 20文字以内 | 表示なし |
Card(動画) | 16:9 | mp4, MOV | 1GB以内 | 20文字以内 | 75文字以内 |
Square(動画) | 1:1 | mp4, MOV | 1GB以内 | 20文字以内 | 75文字以内 |
Vertical(動画) | 9:16 | mp4, MOV | 1GB以内 | 20文字以内 | 75文字以内 |
成功事例に学ぶクリエイティブ改善のヒント
効果的なクリエイティブには、いくつかの共通した原則があります。
視認性の確保: スマートフォンの小さな画面をスクロールする中で、一瞬でユーザーの指を止めさせる必要があります。
要素を詰め込みすぎず、伝えたいメッセージを一つに絞り、シンプルで分かりやすいデザインを心がけましょう。
ユーザー起点: 広告主が伝えたいことよりも、ユーザーが「これは自分のための情報だ」と感じられるメッセージ(ベネフィット)を訴求することが重要です。
ABテストの実施: 「写真とイラスト」「キャッチコピーの訴求軸」「ボタンの色」など、要素を変えた複数のクリエイティブパターンを用意し、実際に配信して効果を比較検証(ABテスト)することで、最も成果の高い「勝ちパターン」を見つけ出すことができます。
実際の成功事例を見てみましょう。
株式会社ディー・エヌ・エーの事例: 人気ゲームアプリの広告で、当初はキャラクター3体を並べたクリエイティブを配信していました。
しかし、LINE NEWSの配信面では視認性が低いことに気づき、キャラクターを1体に絞り、コピーも短くシンプルにしたところ、クリック率(CTR)が200%以上も改善しました。
株式会社スナックミーの事例: おやつのサブスクリプションサービスで、プロが撮影した綺麗な商品写真よりも、一般ユーザーがスマートフォンで撮影したような親近感のある写真を使ったクリエイティブの方が、クリック率が3.6倍も高くなるという結果が出ました。
これらの事例からわかるのは、成功するクリエイティブは、単に美しいだけでなく、表示される「場所(配信面)」の特性に適応し、ユーザーが普段見ているコンテンツの「雰囲気(文脈)」に同化することが極めて重要であるという点です。
無料で使える「LINE Creative Lab」の活用法
「クリエイティブ制作のノウハウがない」「デザインツールを使いこなせない」という方でも、LINE広告のクリエイティブを簡単に作成できる無料の公式ツールが「LINE Creative Lab」です。
テンプレートから作成: 400種類以上の豊富なデザインテンプレートが用意されており、画像やテキストを差し替えるだけで、プロ品質の静止画や動画広告を作成できます。
自動作成: 使いたい画像とテキストを入力するだけで、AIが複数のデザインパターンを自動で生成してくれます。
デザインのアイデア出しにも役立ちます。
クイックトリミング: 他の広告媒体で使用した画像を、LINE広告の規定サイズ(正方形や長方形)に一括で簡単にリサイズできます。
これらの機能を活用することで、専門的な知識がなくても、効果測定に必要な複数のクリエイティブパターンを効率的に作成することが可能です。
【特別編】友だち追加広告(CPF広告)の完全攻略ガイド
LINE広告の中でも、特にユニークで戦略的な価値を持つのが「友だち追加広告」です。
これは単なる広告ではなく、未来の顧客リストを構築するための「投資」と捉えるべき強力な機能です。
友だち追加広告とは?メリットとCPF課金の仕組み
友だち追加広告は、その名の通り、LINE公式アカウントの友だちを獲得することに特化した広告です。
ユーザーが広告をタップすると、ランディングページを介さずに直接、友だち追加の確認画面が表示され、ワンタップで友だち登録が完了します。
最大のメリット: 課金方式がCPF(Cost Per Friends)、つまり友だちが1人追加されるごとに費用が発生する成果報酬型である点です。
広告が表示されたりクリックされたりしただけでは費用はかからず、確実に友だちが増えた分だけコストが発生するため、非常に費用対効果が高いと言えます。
戦略的価値: この広告で獲得した「友だち」は、追加の広告費をかけずに(プラン料金の範囲内で)継続的に情報を届けられる「見込み顧客リスト」となります。
これは、一度きりの接点で終わる可能性のある他の広告と一線を画す、LINE広告ならではの強みです。
この広告を配信するためには、自社のLINE公式アカウントがLINEの審査を通過した「認証済アカウント」である必要があります。
設定方法とキャンペーン作成のステップバイステップ
友だち追加広告は、LINE広告マネージャーから以下の手順で設定します。
1.キャンペーン作成: 新しいキャンペーンを作成する際、キャンペーンの目的として「友だち追加」を選択します。
この目的を選択しないと、CPF課金は利用できません。
2.広告グループ設定: 配信したいターゲット(地域、年齢、興味関心など)を設定します。
「最適化と入札」の項目で、課金対象を「友だち追加」、入札方法を「自動入札」または「手動入札」に設定します。
3.広告(クリエイティブ)設定: 通常の広告と同様に、画像や動画、タイトルなどを設定します。
この広告では、アクションボタンが自動的に「友だち追加」に設定され、リンク先も自社のLINE公式アカウントに固定されます。
効果的なターゲティングとクリエイティブのコツ
友だち追加広告の効果を最大化するには、いくつかのコツがあります。
ターゲティング: 最初からターゲットを細かく絞り込みすぎると、配信量が伸びず、友だちが増えるペースが遅くなってしまいます。
まずは少し広めのターゲットで配信を開始し、どのようなユーザー層の獲得効率が良いかデータを見ながら、徐々に最適化していくアプローチが有効です。
クリエイティブ: ユーザーは「なぜこのアカウントを友だち追加する必要があるのか?」を瞬時に判断します。
そのため、クリエイティブでは「友だち追加するメリット」を明確に提示することが最も重要です。
「友だち追加で限定クーポンプレゼント!」「今すぐ使える500円OFF」など、具体的で魅力的なオファーを画像やテキストで分かりやすく伝えましょう。
友だち追加広告の費用は、単発の広告費としてではなく、将来にわたってビジネスに貢献する顧客資産を構築するための「リスト獲得コスト」として捉えるべきです。
この長期的視点を持つことが、友だち追加広告を戦略的に活用し、成功に導くための鍵となります。
まとめ:LINE広告を理解し、賢く付き合うために
ビジネス担当者の皆様へ
LINE広告は、国内最大級のリーチ力と精緻なターゲティングを兼ね備えた、比類なきマーケティングツールです。
しかし、その力を最大限に引き出すためには、プラットフォームの特性を深く理解する必要があります。
成功の鍵は、以下の3点に集約されます。
ユーザー視点の徹底: 厳格な審査基準の意図を汲み取り、ユーザーに不快感を与えない、価値ある情報としてのクリエイティブを追求すること。
データドリブンな運用: 感覚に頼るのではなく、パフォーマンスレポートを正しく読み解き、データに基づいて仮説と検証(PDCA)を回し続けること。
戦略的思考: 友だち追加広告を単なる広告費ではなく、未来の顧客資産を築くための投資と捉えるなど、長期的な視点で運用を設計すること。
これからLINE広告を始める方は、まずは少額の予算でテスト配信を行い、自社の商材と相性の良いターゲティングやクリエイティブの傾向を掴むことから始めることをお勧めします。
また、専門的な知見を持つ広告代理店に相談することも、成功への近道となるでしょう。
LINE広告を正しく理解し、賢く付き合うことで、ユーザーはストレスから解放され、ビジネスは新たな成長の機会を掴むことができるはずです。
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